投稿日:2005-07-17 Sun
リムド―――女宿のこれまで生きていた宿命は、とても寂しく辛いものだった。彼が自分の宿命を恨み誰も信じられなくなっていたのは無理がない事だと思う。・・・・・私たちが運命を共にする事が悲しみに繋がるなんて、あまりにも悲しすぎる。
私は―――――彼の力になりたい。
「多喜子、大丈夫か?」
「・・・・・あ、うん、ありがとう。大丈夫よ虚宿」
リムドが―――女宿が行ってしまった。私の中に一陣の風を残したまま。
「本当に風のような人ね」
「・・・え?」
呟きが思わず声に出てしまったようだが、幸いにも虚宿には聞き取れなかったようだ。
「み、巫女さま。だだだ大丈夫。またきっと会えるよ」
振り返ると、室宿が気遣うように多喜子を見つめていた。多喜子はにっこり笑うと、大丈夫だというように室宿に頷いて見せた。
(多喜子、しっかりなさい!あなたがそんな事でどうするの? ・・・玄武の巫女として、私にできる事は何でもすると決めたのでしょう?!)
多喜子は、ゆっくりと息を吸い込んで大きく深呼吸した。
「ごめんなさいね、心配かけて。それより、虚宿と室宿も大丈夫なの?怪我はない?」
「あ、ああ」
虚宿の言葉に室宿も頷く。
緩やかな風に吹かれ、湖面が揺らいでいる。この穏やかな風景が北甲国にもずっとずっと続く為にも、これからが頑張りどころなのだから。
―――そう。もう後戻りは出来ない。
もう敵がいない事を再度確認するように虚宿が辺りを見回す。
「・・・さてと。どうやら敵もいないようだし、とりあえずもうちょっと休むか」
「そうね」
多喜子の言葉を合図に、三人は暖を取っていた場所へと戻っていった。
≫続く










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